!caution!

最終話までのネタバレを中途半端に見てしまった状態で書いた物です。
間違いなく実際の結末とズレが生じているでしょうし、
地上波組の方にはネタバレとなる可能性がございます。
それでも大丈夫という方はクリックしてどうぞ。















































































まよいみち/くねくね

すべてが終わったあとの村のみんなはなんか抜け殻みたいに見えたです。あれほど戦とおさむらい様を怖がってたマンゾウも溜息ばっかりついて、時々意味もなく弓を撫でてうなだれてる毎日です。反対に女の人たちは活気があって眩しくて、前みたいな明るい光を持たないねえさまを取り残して田植えに精を出してるです。


「コマチ、ちょっとおいでなさい」キクの字たちのお墓参りから帰ってきてすぐ、ねえさまは言ったです。「コマチにいいものをあげましょう、手を出しなさい」にこりと、それは久しぶりに見た笑い顔だったです。
言われるままにするとなにかが手のひらに落ちる感覚、見てみたらいつもねえさまが持ってたあの綺麗な水晶がおらの手の中きらきら光ってたです。
「ねえさま、これ」「御水分りの証である振り子です。あなたにこれを持っていて欲しいのです」この振り子を持つこと、それはつまりおらが新しく水分りとなること、ねえさまが水分りでなくなることを示してました。
「やめちゃうですか、水分り」
「・・・私にはもうその使命を果たす資格がない、汚れてしまったから。コマチ、あなたならまだ十二分に清いから大丈夫。引き受けてくれますね?」
「・・・・・わかったです。ねえさまのためなら、おら喜んで引き受けるです」
嘘だ。この人はもうあんな思いをしたくないからおらに押しつけたんだ逃げたんだおらだって辛いのに、そのときはそう思ったです。だからつい、ねえさまの傷口をえぐるようなことを言ってしまったです。
「・・・・・カツの字、それ聞いたらきっと哀しんで怒るですね。たぶんまた強くなってるです。こんどはおらがカツの字に殺されてしまうかもしれないですね。おらカツの字恐いです」言い終わって、わざわざカツの字の話を蒸し返した自分の汚さにはっとしたです。全然清くなんか無い・・・。
ねえさまは一瞬さっと傷ついたような表情を浮かべると無理にそれを押さえ込んで、かわりに涙をにじませて言ったです。あの時、ねえさまは視線を合わせなかった。うるんだ視界でねえさまが何を見ていたか、おらはそれが今でも分からないんです。


「あの方は鬼になられました。けれど、かつては私の前に手を付いたお方。恐れる必要などありません。・・・・・修羅の果てに、いつかここへ帰ってきます。絶対にです。そして必ず、また私を求めるのです。そうでなくては、その時こそは、」
閃いたみどりのきれいな髪を思い出したです。まとわりつく赤を振り払いもしないで駆け抜けてゆくカツの字が、おらはほんとうに本当に恐ろしかった。

遠くではしゃぐ声が聞こえたです。戦を知らない、まだ幼い男の子の声だったです。同時に、もはやただの娘となった姉様の頬に涙が伝ったのを、オラはこの目で見たです。



(まよいみち・完)